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音楽とインターネット育ち、駆け出しマーケターのブログ。

「音量を上げろタコ!」はもっと「イカれた映画」と知られるべきだった

「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」という映画について。僕の観測している範囲だと、これの評判がかなり悪い。

onryoagero-tako.com

吉岡里帆さんと阿部サダヲさんが主演。公式サイトには、「ハイテンション・ロック・コメディ」と掲げられています。ようするに、音楽をテーマにしたどたばたコメディ映画。

先日観たのですが、僕はかなり面白いと感じました。とても笑いましたし、音楽もよかったですし。

ところが、Twitterやいくつかのレビューサイトを見てみると、かなり厳しい評価であふれています。なぜここまで酷評されているのか。

<レビューサイト例>

いくつか要因はあるのでしょうが、その大きな1つは、「イカれた映画だと十分に伝わっていなかった」ことだと、僕は推測しています。

予告映像や主題歌から感じる「意外とまとも感」

すでに鑑賞した人なら共感してもらえるのではと思うのですが、この映画では80%ほど吹っ飛んだままストーリーが進みます。具体例はここでは記しませんが、普通のコメディ以上に吹っ飛んでいます。

一方で予告映像は、どことなく「まとも感」があります。笑える映画であることは伝わるのですが、「笑いの要素は多くても65%ほどで、普通のラブコメくらい泣ける感じなのでは」と、なんとなく勘違いしてしまいそうな印象です。

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また、この映画で重要な鍵となる、主題歌「体の芯からまだ燃えているんだ」も同様です。作詞作曲があいみょんさん、歌が主役の2人で制作された楽曲。

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この曲も、とにかくまとも。いまどき、こんなにストレートな楽曲で、ここまでカッコよく見せられるのかというくらい、超まとも。

このミュージックビデオは、映画が公開される前から公開されており*1、予告映像と同様に、映画の集客へ繋がる導線の1つとして機能していたはずです。

つまり、「予告映像や主題歌など、公式な情報だけを受け取って、実際にこの映画を観に行くと、思いがけない(悪い意味での)ギャップを感じることになるのでは」と思うのです。

プロモーションで大事なのは、「できるだけ多くの人に届けること」ではなく、「適切な人たちに深く届けること」

文字通り「万人ウケ」するものは、この世には存在しません。誰かにとって面白いものは、誰かにとっては面白くない。誰かにとって使いやすいものは、誰かにとって不便だったりする——。

そんななかで、何かをプロモーションするときに求められるのは、「適切な人たちに深く届けること」です。欲張って、できるだけ多くの人に届けようとすると、むしろ不快に思う人が増えます。広めようとした作品や製品も、逆に傷つきます。

さらには、それによって生まれた悪評が、本来なら楽しんでくれたであろう人たちのもとに作品や製品が届くことを、妨げる可能性すらあります。

今回「音量を上げろタコ!」が、この作品に共感できない人たちにまで、意図して無理に広げようとされたのかは分かりません。しかし、実際に起きている今回の現象から改めて、「適切なターゲットに絞って、深く届けること」の重要性を感じたのです。

「カオスを楽しめる人」にこの作品が届きますように

そんなわけで、僕はこの映画は「カオスを楽しめる人」なら、ぜひ観てもらいたいと思っています。無茶苦茶な状況を「無茶苦茶じゃん。笑」と笑いながら楽しめる人なら、きっとおもしろい映画のはずです。

もっとこの映画が「イカれた映画」だと知られて、観るべき人たちにどんどん広まりますように!

*1:当初はYouTubeにはショート版のみで、GYAOにはフル版という構成でしたが。